免許返納者の声 #01
「2万キロ走っていた私が、ハンドルを置いた理由」
Aさん(大阪府堺市・80代・男性)
Aさんは、70代まで、仕事、ゴルフ、旅行、家族の送迎、病院への通院などで年間約2万キロを運転していた方です。駅周辺へは電動自転車を使うなど、場面に応じて移動手段を使い分けていましたが、自宅の車庫入れで車をぶつけたことや、センターラインに寄りすぎる運転を家族に指摘されたことをきっかけに、そして80歳を前に、返納を意識するようになりました。車の無い生活等考えられなかった方が、家族に勧められて大阪府警の免許返納体験を受けた後、返納に至りました。
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1. 返納体験と不安の整理
返納体験はいかがでしたか?
「楽しかったです。娘が病院への行き方を調べてくれて、時刻表や停留所の写真まで用意してくれました。バスにも初めて乗りましたし、ノンステップバス(*1)の時刻表も娘が調べてくれました。返納体験で2,000円分のタクシーチケットをもらえたのもうれしかったです」
*1 出入口や車内に階段がなく乗降時の段差を極力排除した低床バス返納への不安は解消されましたか?
「車を運転できなくなるという事実は悲しかったです。でも、自分が事故を起こして孫や家族を悲しませたくはありませんでした」
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2. 返納後の移動手段
返納後は、どのような移動手段を使っていますか?
「家族に送迎してもらうこともありますし、送迎がないときは堺市の『おでかけ応援制度』を使って路面電車に100円で乗っています。歩くことも増えましたし、タクシーも利用しています。旅行も、これまでは自家用車で行ける近場が多かったのですが、今は電車や飛行機を使った遠出が増えました。自家用車での旅行は駐車場所探しや渋滞が負担でしたが、観光タクシーを使うと移動が効率的で、いらいらも減りました。大きく見ると、今のほうが楽だと感じます」
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3. 費用面の変化と移動の工夫
車にかかる費用や使い方の面では、どのような変化がありましたか?
「車の維持費や保険料が減り、駐車場代も気にしなくてよくなりました。タクシーは1回ごとの金額だけを見ると高く感じますが、毎日乗るわけではないので、全体で見るとドア・ツー・ドアで便利ですし、むしろ安いと感じます。運転経歴証明書でタクシー料金が1割引になるので、いつも同じ会社にお願いしています。病院までタクシーだと高いと感じるときは、なんばまで路線バスで行き、そこからタクシーに乗ることもあります。浮いた費用で、娘と昼食を食べて帰ることもあります」
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4. 返納後の心境の変化
移動手段を変えて、ご自身にどのような変化がありましたか?
「車を運転していたときは、運転席から流れるように景色を見ていましたが、電車では時間をかけてゆっくり景色を見るようになりました。危ない運転を見かけることもあり、返納してよかったと思うことがあります。今よかったと感じているのは、一般の交通機関を使って生活できているという満足感です。落ち着いて物事を考えられるようになり、自分が変わったと感じます。車に乗っていた頃は、何となく慌ただしく動いていました」
返納していかがですか?
「よかったと思います。車のありがたさは改めて感じましたし、不自由は不自由ですが、徐々に慣れました。使えるものを使えばいいと思えるようになりました。最初はストレスもありましたが、時間は十分にあるし、人生そんなに慌てなくていいという考えに早い段階で切り替わりました。また、周囲の友人が『車がないのだから』と自然に声をかけて乗せてくれることもあり、移動そのものがコミュニケーションの機会にもなっています」
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5. 高齢ドライバーの方々へのメッセージ
最後に、高齢ドライバーの方へ伝えたいことはありますか?
「事故は起こしてほしくないと願っているだけです。免許返納後には、お金に変えられない楽さがありますし、免許返納によって受けられるサービスもあります。知らないままなのは、もったいないと思います。自分は大丈夫だと思って運転している人も多いと思いますが、気づかないうちに衰えていることがあります。私自身も足腰の力はあると言われていましたが、とっさの反応が鈍く、バランスも悪いと理学療法士に言われました。自分では気づいていませんでしたが、ブレーキやアクセルが少し遅れるだけでも事故につながります。そうした変化は、自分ではなかなか気づけないものだと思います」
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6. ご家族のコメント
運転していた頃のAさんについて「我先に、という感じが強かった」と振り返ります。一方で、返納後は待つことができるようになり、周囲への気配りも増え、やさしくなったように感じると話していました。
また、家族側も意識が変わったといいます。免許を持っているときには送迎依頼に負担を感じることもあった一方で、返納後は「家族で補っていこう」という気持ちが自然に生まれたそうです。
さらに、足腰が元気なうちに返納を考えることが大切だと感じています。Aさんの奥様も返納体験に参加され、歩数に応じて楽しみが得られるアプリなどを活用しながら返納後の生活に備えていると話しておられました。
編集後記
とてもお元気にお話しくださいました。「時間に余裕があるのだから」とゆったりとした生活を送っている印象で、歩くことにもあまり抵抗がない方々でした。
車の運転はできないけど、こんな楽しみもある、と前向きにお考えになっていらっしゃいました。
まず免許返納の検討から入るのではなく、車を手放しても生活に困らない移動手段がないのか、逆に車を持たないことによるメリットがありそうか一度調べてみるのはいかがでしょうか
また、ご家族の方は、日頃車で行っている場所について、どんな方法で行くことができるのか本人に代わって調べていただき、一緒に体験する機会を作ることもしていただくと、ご本人も一歩を踏み出せ、少しでも安心につながっていくのではないでしょうか。
是非 免許返納体験用紙や運転能力診断もご利用していただければと思います。
(高齢ドライバードットコム 担当)






